
「自分たちで作れば安く済むはず。ただ、担当者の負担がどこまで増えるか読めない」
「外注したいけれど、全部任せると費用が膨らみそうで踏み切れない」
カタログ制作の進め方を検討し始めると、多くの担当者がこの二つの間で足踏みします。実は、内製か外注かは二者択一の問題ではありません。制作工程を分解し、工程ごとに使い分ければ、費用・品質・社内負担のバランスは調整できます。
この記事では、費用の比較で見落としやすい社内コストの考え方から、費用以外の判断ポイント、自社に合う内製・外注の組み合わせ方までを順に解説します。
カタログ制作の内製・外注とは? 担当範囲と工程の基本構造

まずは、カタログ制作における主な工程を整理しておきましょう。
カタログ制作における6つの主な工程
カタログ制作は、おおむね次の流れで進みます。
| 工程 | 内容 |
|---|---|
| (1)目的・ターゲットの設定 | 誰に何を伝え、どう行動してほしいかを決める |
| (2)掲載情報の収集 | 商品情報・写真・仕様データなどを集める |
| (3)構成・原稿作成 | ページ構成(台割)と文章を作る |
| (4)デザイン・印刷データ作成 | レイアウトを組み、入稿用データに仕上げる |
| (5)校正 | 誤字や価格・仕様の誤りを確認する |
| (6)印刷・製本 | 仕様に合わせて印刷し、製本する |
このうちどこまでを社内で行い、どこから外部へ依頼するかを検討していきましょう。
全面的な「内製・外注」にこだわる必要はない
「内製」といっても、原稿作成までを担うのか、デザインや入稿データ作成まで担うのかで、必要なスキルや費用が大きく変わります。外注も同様に、丸ごと依頼する方法からデザインだけ・印刷だけを頼む方法まで幅があり、どこまで頼むかは発注側でも決められます。
よって「内製できないなら外注するしかない」わけではありません。これを前提に費用と判断ポイントを決めていきます。
なお、一般的な制作手順は、「商品カタログの作成方法5ステップ|掲載内容・構成・デザインの基本を解説」の記事で詳しく触れています。
カタログ制作は内製と外注のどちらが安い? 社内コストも含めた費用比較

次は費用が気になるところです。ただし「内製なら安い」というイメージだけで選んでしまい、うまくいかないケースも少なくありません。社内コストまで含めた比較の考え方を解説します。
内製のメリット|外部への直接的な支払額を抑えやすい
例えば、以下のような条件がそろっていれば、内製のほうが支出を抑えやすいです。
- 社員が対応できる
- テンプレートを利用できる
- ページ数や商品数が少ない
- 高度なデザインを必要としない
社内向け資料や簡易な商品リストのような用途であれば、外注費をかけずに必要十分な品質で制作できるケースもあります。
内製の注意点|社内人件費やツール運用費などの「見えないコスト」
一方で、内製は「タダ」ではありません。見積書に載らないだけで、次のようなコストが発生します。
| 見えないコスト | 内容 |
| 担当者の作業時間 | 人件費(残業代などを含む) |
| 習熟にかかる時間 | 制作ソフトの操作を覚える時間 |
| ツール・素材費 | ソフトや写真素材の購入費用 |
| 機会損失 | 制作作業によって通常業務が止まる時間 |
| 手戻り | 修正や作り直しにかかる時間 |
特に見落とされやすいのが、担当者の作業時間です。
多くの場合、カタログ制作のほかにも業務を兼ねることになります。制作を進めるうち負荷が増え、本来の業務に支障をきたしてしまうこともあります。
外注費の仕組み|依頼する工程(上流・下流)で費用が大きく変動
外注費は、依頼する範囲の広さより、どの工程を頼むかで変わります。
デザインと印刷は仕様が定型化されやすく、見積もりの振れ幅も小さめです。
一方、企画・原稿作成・撮影といった上流工程は、商品理解や構成力が求められる分、工数も単価も上がりやすくなります。同じページ数でも、上流工程をどこまで任せるかで金額が数倍変わることは珍しくありません。
工程別の相場や内訳は「【料金相場】カタログ制作の費用はいくら?内訳と安く抑える5つのコツ」で詳しく解説しているので、具体的な金額感はそちらを参照してください。
内製コストと外注費を並べて比較する簡易試算ルール
内製と外注を比較するには、内製側のコストを金額に換算します。考え方は次のとおりです。
| 内製コスト=担当者の作業時間×社内時間単価+ツール・素材費+印刷費 |
例えば、担当者が制作に40時間かけ、社内の時間単価を3,000円とするなら、人件費相当だけで12万円。
ここにソフトや素材の費用、印刷費を足した合計が、外注の見積額と並べて比較する際の内製コストになります(時間単価と作業時間は、自社の実態に合わせて置き換えてください)。
厳密な損益分岐点は必要なく、粗い試算で十分です。もし作業時間の見込みがまったく立たないなら、その不確実さ自体が内製のリスクと考えられます。
費用以外に比較すべき4つの判断ポイント

費用が比較できても、それだけで決めるのは早計です。金額に表れない条件を見落とさないために、ここでは費用以外に比較したい4つの判断ポイントを紹介します。
ポイント① 社内に制作を担当できる人材と時間の猶予があるか
「デザインができる社員がいる」ことと「その社員がカタログを完成まで進められる」ことは別問題です。
内製で起こる典型的なトラブルの1つが、「担当者が繁忙期に入って制作が止まってしまう」ケースです。スキルの有無だけでなく、完成までの作業時間を業務として確保できるかどうかを、本人にもヒアリングのうえ、丁寧に検討してください。
ポイント② 営業成果やブランド力に直結する品質が求められるか
社内向け資料や簡易版なら内製でも十分ですが、会社の顔として営業や展示会で使うカタログでは、構成やデザインの専門性が仕上がりを左右します。
「誰が読むか」「営業成果やブランドにどれだけ影響するか」から逆算して、必要な品質水準を決めましょう。
ポイント③ 価格改定や仕様変更など商品情報の更新頻度が高いか
価格改定や仕様変更、廃番などが頻繁にある商材では、軽微な更新を社内で行える体制のほうが現実的です。
修正のたびに外注していては費用も時間もかさみ、反映が遅れれば「現場で使えないカタログ」になりかねません。更新頻度が高いなら、少なくとも修正作業は社内で対応できる体制を検討しましょう。
ポイント④ 厳密な納期を守れるか・制作ミスのリスクを許容できるか
外注でも打ち合わせや校正のやり取りに時間はかかりますが、内製には、「担当者の多忙による遅延」や「入稿データの不備による刷り直し」といったリスクがより高まります。
印刷を外注する場合も、仕様決定から校正・印刷までは一定の期間が必要です。展示会の配布などで締切を動かせない事情があるなら、スケジュールのバッファまで含めて判断しなくてはいけません。
自社に合う「内製・外注」の組み合わせ方、おすすめ4パターン

続いては、企業によくあるニーズや条件別に、内製か外注か、またはその組み合わせで進行しやすい4つのパターンを紹介します。
パターン① 小規模・簡易なカタログなら「全面内製」
まずは、次の条件がすでにそろっているなら、内製でも良いでしょう。
- ページ数・商品数が少ない
- 既存のテンプレートを利用できる
- 社内にカタログ制作の経験者がいる
- 関連会社や一部の取引先など、配布範囲が限られている
テンプレートを活用して制作を進める場合の詳細については、別記事「カタログ作成テンプレート活用術 無料ツールの限界と外注の判断基準は?」で詳しく解説しています。
パターン② 初めての制作・高品質を求めるなら「全面外注」
反対に、掲載内容の検討や構成の段階からプロの手を借りたい、営業や展示会などの現場で長期間使う見込みがある、商品数や掲載情報が多い、企業イメージを重要視する、などの条件があるなら、外注が向いています。
カタログ制作自体が初めてで、右も左もわからない状態なら、まずはプロに相談してみるのも良いでしょう。
なお、初めてカタログ制作を外注する企業に役立つ情報は、「カタログ制作を外注する前に決める7つのこと」にまとめています。
パターン③ 初版デザインを外注し、改訂・更新のみ内製
3つ目は、最初にプロへ構成とデザインのひな形を作ってもらい、価格や仕様などの軽微な変更を社内で行う方法です。
更新頻度が高い商材と相性がよく、2回目以降の費用を抑えられます。引き継げるデータ形式で納品してもらえるか、依頼時に確認しておきましょう。
パターン④ 企画・原稿を自社で行い、デザイン・印刷のみ外注
また、商品知識が必要な情報整理は自社で担い、専門性の高いデザインと印刷だけを依頼するという分担方法もあります。
外注費を抑えながら品質を確保しやすく、多くの企業にとって現実的な落としどころになります。
【運用診断】自社で内製化・継続ができるかを知る、6項目のチェックリスト

カタログは完成して終わりではなく、運用を始めてから気づく負担もあります。特に内製だと、完成した先の運用タームまで想定していない例もあります。そこで、内製の体制が続けられるかどうかを確認するためのチェックリストを用意しました。
次の6項目に、いくつ当てはまるか確認してください。
| ✅ | 担当者の作業時間を継続的に確保できる |
| ✅ | 制作ツールを扱える人が複数いる、または引き継げる |
| ✅ | デザインの品質基準が社内で決まっている |
| ✅ | 商品情報を一元管理できている |
| ✅ | 担当者が変わっても更新できる体制を整えている |
| ✅ | 印刷用データの不備を自社で確認できる |
該当する項目が少なければ(めやす:5項目以下)、全面内製にこだわらず、部分外注を前提に検討するのが現実的です。
無理をして内製を選ぶと、担当者の異動や退職をきっかけに止まってしまうことが少なくありません。
費用・社内工数を比較し、最適なカタログ制作スタイルを選ぼう

内製は外部への支払額を抑えやすい一方、社内工数や継続体制も見えないコストとして発生します。外注も丸ごと依頼する必要はなく、工程ごとに内製・外注を切り分けるほうが、費用・品質・社内負担のバランスを取りやすいのが実情です。「安いかどうか」ではなく「無理なく続けられるか」を基準に、自社に合う制作方法を選んでください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
弊社ではカタログ・パンフレットの制作を行っております。
お電話やメールでもご相談を承っております。短納期や作り替え等、お気軽にご相談ください。