
展示会や新製品発表が迫ると、カタログ制作に「いくら掛かるのか」「どこまで社内で用意すれば良いのか」費用の全体像がつかめず、判断が後ろ倒しになりがちです。
この記事では、制作費の内訳と相場の考え方、ムダを削る実務手順、発注先の選び分けを一連の流れで解説し、短い準備期間でも“自社に最適なコスト”で着地できる視点を提供します。
カタログ制作で失敗しないための基礎知識

納期の読み違い・仕様の盛りすぎなど、カタログ制作によくある失敗
典型的なのは納期の読み違いです。発送日と到着日を混同し、加工や後工程で予定より遅れることがあります。
次に多いのが、仕様の過剰な盛り込みです。見積もりと工程が膨らみ、想定予算をオーバーしてしまうでしょう。
また、見積もりの前提条件が各社で異なり、単純比較ができず判断が遅れることもあります。事前に精査のうえ条件をそろえておけば、こうした失敗は防げます。
【基礎知識】企画から配送・保管まで:カタログ制作にかかる主な費用項目
カタログ制作に必要な費用は、一般的に、「①企画・編集→②デザイン→③撮影→④コピー作成→⑤印刷・加工・製本→⑥配送・保管」の6要素で構成されます。
企画・編集段階では、情報と構成を可能なかぎり整理しておけば、後の工程での手戻りが最小限に抑えられます。
デザインは担当者の好みや流行ではなく、「読みやすさ」と「ブランドのイメージ統一」を第一とするのがポイントです。
【費用内訳】制作費が変動しやすい要因:部数・用紙・加工・ページ数・色数
見積額を左右するのは、部数・用紙・加工・ページ数・色数といった要素です。
部数が増えると、1冊あたりの単価は下がっても総額は増えるため、発注前に配布量や改訂頻度を見極める必要があります。とはいえ慣れないうちは、これが難しいのも現実です。
ページ数は直前になって変更すると割高になりがちなので、編集段階で漏れがないようにしておきましょう。
費用を抑えて短納期とコスト最適化する5つのコツ

費用を抑えるコツ①:午前中の完全データ入稿で納期を前倒しする
近年は、修正・調整不要の印刷用データを送付する「完全データ入稿」が人気です。データは「印刷用トンボ追加・塗り足し・フォント埋め込み」などの処理を完了させておかなければなりません。
印刷対応のPDFファイルを午前中に入稿して即時受領確認を取り付ければ、同日の刷版に乗せられる確率が上がり、一営業日の短縮が現実的になるでしょう。
費用を抑えるコツ②:基準仕様を決め、アレンジは「理由がある時だけ」
また、仕様はできるだけシンプルにしておきます。
例えば「A4/16P/本文マット系135kg/CMYK/無線とじ/表紙マットPP」を基準に、「特別号だけは表紙箔を足す」と決めておくと、品質やコストのブレが起こりにくいです。
費用を抑えるコツ③:情報の一元化で決済と配送の摩擦をなくす
カタログの仕様や見せ方でなく、決済や配送を見直すのも一案です。
発注時に、支払い方法(クレジットカードまたは前振込)を決定し、納品先リスト(自社保管分・展示会会場直送分など)や配送指示を1枚の発注書にまとめます。情報を一元化するだけで経理・物流の停滞を防ぎ、スムーズに進行できます。
費用を抑えるコツ④:社内で一次素材を整え、外注は仕上げに集中させる
例えば写真は、前回のカタログや社内資料で使ったものを極力再利用し、パッケージ変更や新製品などのみを撮影します。
原稿は、商品説明や仕様値、FAQなどの下書きを社内で作っておき、発注先には文章の校正や最終調整から任せるようにしましょう。
費用を抑えるコツ⑤:条件統一シートで相見積もりを取る
相見積もりの前に、条件も統一しておきましょう。
仕様・入稿形式・校正回数・納期・配送形態を一枚の資料にまとめて、同一条件で各社に依頼します。
4. 【徹底比較】紙の冊子vsデジタルカタログ、どう使い分ける?

使い分けの最適解は、展示会などでは紙のカタログの対面配布で接点を作り、詳しい情報や最新情報はQRコードなどからデジタルカタログに誘導する「ハイブリッド方式」です。
| 比較項目 | 紙カタログ | デジタル(電子・Web) |
| 初期費用・単価 | 印刷・加工・配送が主なコスト。単価は部数が多いほど下がる。 | 制作コストは低めだが、配信や更新で追加費用がかかる場合が多い。 |
| 更新のしやすさ | 改訂には刷り直しが必要。在庫リスクも発生する。 | 即時に内容を更新でき、差し替えや追加・補足も簡単。 |
| 表現力(質感・可読性) | 紙の手触りや厚みが「所有感」に直結し、現場での説得力が高い。 | 動画やリンク、検索機能で情報を深掘り、および導線設計しやすい。 |
| 配布・到達方法 | 対面配布や配送が中心。確実に届くが送料や保管費がかかる。 | URLやQRコードで手軽に共有でき、メールや広告との連携も容易。 |
| 効果測定 | 成果測定には工夫が必要(QRコード連携や特典付与など)。 | 閲覧数・離脱率・ダウンロード数を計測でき、データ分析も可能。 |
5. 【徹底比較】 発注先タイプ別メリット・デメリット

最後に、印刷会社やデザイン会社など、発注先ごとの違いについてまとめました。
【印刷会社】コストとスピード重視派に
印刷会社は、仕様が固まっていて、コストとスピードを最優先したい企業に適しています。印刷工程を自社で持つため価格が安定し、納期管理もしやすいのが利点です。
ただし、デザイン・編集・撮影などは別手配となることが多いので、社内で進行管理できる体制が欠かせません。
【制作会社・デザイン事務所】ブランド刷新やデザイン品質重視派に
ブランド刷新や見せ方を改善したい企業には、制作会社・デザイン事務所が向いています。企画から関わり、構成やデザインの完成度が高いという特徴があります。
初めて本格的なカタログを制作する企業や、イメージを一新したいときにおすすめです。印刷は外注となることが多く、総額は印刷会社よりやや高めとなります。
【広告または販促(SP)代理店】大規模案件や社内工数削減派に
代理店は一括請負に対応するので、撮影やコピー、デジタル媒体の運用まで、丸ごと任せたい場合に便利です。
制作から進行管理までの社内工数を減らせます。一方で、管理費が上乗せされるためコストは最も高くなりやすいでしょう。カタログ以外の施策との連携も含む、大規模案件にも向いています。
まとめ:コスト最適化と品質を両立したカタログは作れる

カタログ制作の費用は、設計(仕様・部数)と運用(更新・配布)のかけ合わせで決まります。
基準仕様を決め、午前中の完全データ入稿や条件をそろえた見積もり、スムーズな配送・決済を意識すれば、短納期でも費用を無理なく抑えられます。
紙×デジタルの融合で、スピードと品質を両立する、次世代カタログ運用をめざしましょう。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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